verse
夏の午前よ、いちじくの葉よ、
葉は、乾いてゐる、ねむげな色をして
風が吹くと揺れてゐる、
よわい枝をもつてゐる……
僕は睡ねむらうか……
電線は空を走る
その電線からのやうに遠く蝉は鳴いてゐる
葉は乾いてゐる、
風が吹いてくると揺れてゐる
葉は葉で揺れ、枝としても揺れてゐる
僕は睡らうか……
空はしづかに音(ママ)く、
陽は雲の中に這入はひつてゐる、
電線は打つづいてゐる
蝉の声は遠くでしてゐる
懐しきものみな去ると。
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